坂口さんが、この間読んだ記事でも、
「なんでこうなんだろう、と見た後に引っかかる作品の方が好き」
と言われていて、
私にとって引っかかる作品と言えば、「そして、生きる」。
どうしても考えてしまう。
思えば思うほど、
あんな展開はない、とひどい話だと思ってしまう。
何を描きたかった作品なんだろうか、と疑問。
好きとは思えない。
好きなシーンはたくさんあるし、
役者の演技も迫真で、心温まるものがあって、
お気に入りに入れたい作品なのに、
どうしても、あのラストは納得いかない。
だから、もう一度見たいと思えないし、
人にも勧める気にならない。
やっぱり、瞳子が最初に、妊娠を告げずに一人で産もうと決めたところが
すべての行き違いの始まりだと思う。
彼女の強さ、けなげさ、愛情深さ、育ちにつながる思いなど、
いろんな姿を示しているんだろうけど、
あの決断は、ほんとに必要だったんだろうか。
自分で決める強さと、決めたことは受け入れていく潔さ。
それは素晴らしいかもしれないけれど、
ほんとの大事な気持ちを押し込めて生きていくことは、
いいことなの?
あれがなければ、ふたりや他の人物に違う人生の展開があったと思う。
少なくとも、たくさんのもどかしい交情は起こらないですんだ。
2話までは、ふたりの出会いや生き方も含めて
素直に見ていられる話だったのに。
なんか、ほんとの幸せの形が見えない作品に感じる。
フィクションだからこそ、
もっと登場人物に救いがあってほしかった。
・・・と、
何度も考えて、今の私にはこんなふうに思えている。
坂口さん作品の中で、唯一納得できないもの。
いつか違う見方をするときもあるのかな。