視覚障害の方のお話を聞いた。
その中で、ある笑い話として言われたエピソード。
全盲のその方がスキーをするとき、
誘導する人が後を追って滑って、声で指示をする。
あるとき、吹雪になり、前が見えなくなった。
そのとき、誘導役の後ろの人が、
その方に、「誘導してくれ」と言った、と。
視界がきかないときは、
全盲の人の方が状況を把握できる。
立場が逆転する。
このあいだの「silent」で、
静かにしなくちゃいけない図書館の中で、
手話のできる自分たちは、
会話ができて、便利だ、という場面があったのを思い出した。
ある力が欠けていることで得た能力が、
別の状況では有効な力になる。
不自由、と決めつけてはいけないんだな。
お話を聞いた視覚障害の方は、中途失明の方で、
「全盲」は、今でも不自由だし、くやしい、さみしいこともある、
でも、恨めしく思うことはなかった、
と言われてた。
「自分をどれだけ価値ある人間とするかは、自分次第。
私は今の仕事をしている自分を誇りに思っている。
全盲は、特徴の1つ。価値を下げるものではない、
と今は思えている」
とも。
障害に限らず、
なにかマイナスのことについて、
違う側面が生まれる、ということでもあると
そんなふうに思えたらいい。