いつも聞いてるポッドキャストで、
映画「あんのこと」について、
主演の河合優美さんの演じるにあたっての思いを紹介されてた。
ちょうど「MIMI」を観たばかりで役者さんと役について考えてたことの、
ひとつの答をもらったような気がした。
長いけど、抜粋しつつ、そのまま。
「この役と、主人公のモデルになった女性を、
自分が守る、絶対に守らなきゃと、心に決めました。
自信があったとかそういう意味ではありません。
ご本人の尊厳にも関わるとてもデリケートな題材ですし、
むしろ、演じながら悩み、躊躇する瞬間がたくさん出てくるだろうと思った。
でもだからこそ、最初に彼女と手をつなぎたかったんです。
不遜に聞こえるかもしれないけれど、
わたしのところに来たからには、もう大丈夫だよ、
そう語りかけずにはいられない自分がいました。」
監督から最初に手紙をもらい、
「彼女の人生を生き返す」という言葉を送られていたと言う。
河合優美さんという俳優の体を借りて、
モデルとなった女性が向き合っている世界をみんなで再発見しましょう、
という意識を共有して進んでいったそう。だからほぼ順撮り。
入江監督も自分の今までの演出とは違って、
河合優実さんに「こういうふうにやってみてください」ということは一切言わず、
逆に、「杏は今、どんな感じですか」と聞いていたくらい。
河合優実さんは、
「感じ取ったまま演じていくから、怖かった。
でも、この怖さを監督やスタッフ全員が共有してくれていたので、頼もしかった」と。
撮影前に、いろんな人に取材し、
モデルになった人に詳しい記者からは、監督と共に何時間も話を聞いたとか。
「MIMI」でも、横浜流星演じる青年が、当事者に直接話を聞いてた。
そのときの表情が、
相手のことを理解しよう、という気持ちがにじんでいたのを思い出す。
「MIMI」の時は、それが、役を演じるための手段のように感じたんだけど、
河合優美さんの
「わたしが守る」「わたしのところに来たからには、もう大丈夫だよ」
という言葉は、
それほどの思いもあるんだ、と教えられた気がする。
よく俳優さんが、
「自分がその役のいちばんの理解者でありたい」と言うけど、
その上で、これほどの覚悟というか、愛をもって取り組むってすごいことだと思う。
・・・と言いつつ、わたしのいつものパターンで、
この間、観るチャンスがあったのに、辛そうな話だと、スルーしてしまっていた。
「ぜひ知ってほしい」という河合さんの思いを聞くと、
これはやはり見ようかな、とちょっと思いかけてる。
佐藤二朗も、怪演系ではないようだし。