坂口さんの過去のインタビュー(2019年・CREA)の中で、
「そして、生きる」の清隆と瞳子の行き違いのことを聞かれて、
人生のそういう運命を、自分は受け入れる、と答えてた。
たとえば、
やりたい役をいろんな事情でできなかったとき、
自分がやるべき役ではなかった、と考える。
そうしないと、そのことに感情が引きずられてしまう。
次のことに心のエネルギーを向けていく、と。
私はいまだに、「そして、生きる」のふたりに触れるのはつらい。
ドラマだから。
ほんとの自分の人生にそれが起きたら、
受け入れるしかないのかもしれないけど。
変えられないし、誰を恨んでもしかたないから。
でも、ドラマ=フィクション・誰かの創作物だったら、
なぜそうした?と思わずにいられない。
役者さんって、脚本に納得できないときは、
どうするんだろう。
おかえりモネで、清原果耶さんが、
亮ちんとのコインランドリーの場面で、
最初台本を読んで、私には言えません、と監督に言ったそう。
その後いろいろ話し合って、
納得して演じたとのこと。
台本は基本絶対だし、
物語の中の人物は自分ではないのだから、
自分の思いと違うことはあって当然。
そう思うと、
ほんとに役者さんって、大変な仕事だなあ、と思う。
そして、心から好きな作品に巡り合えた人は、
ほんとに幸せなことだ。
それがどれくらいあるのかはわからないけど。
「おかえりモネ」だって、
私は全部手放しで好きだったわけじゃない。
けれど、毎日一生懸命楽しみに見てた。
おかえりモネは、出てる役者さんのことは、みんな好きになった。
その当時の自分ののめり込み具合も含めて、
素敵な作品だったなあ、とやっぱり思う。
これからもそんな作品が、
たくさん生み出されていくことを願う。